2005年1月19日 毎日新聞 夕刊
     

        

憂楽帳:
非電化の楽しみ

 神奈川県葉山町の工房で、発明家の藤村靖之さん(60)がコーヒーをいれてくれた。薄緑色の生のコーヒー豆をアルミ製の焙煎(ばいせん)器に入れ、ガスコンロにかけて振ると、3分間でこげ茶色に変わった。

 藤村さんが考案した「非電化の焙煎器」だ。最近のコーヒー豆は、業者が電気による熱風で煎(い)るケースが大半だ。その電気に比べると、ガス焙煎はエネルギー消費が原理的に3分の1程度ですむという。「自分好みに煎って、ひいて飲む。ぜいたくでしょう」

 藤村さんは電気に頼らない非電化製品を次々と発明してきた。晴れた夜に地表から熱が放出される「放射冷却」を使う非電化冷蔵庫もその一つだ。

 非電化製品は途上国向けのイメージが強いが、実はエネルギーを大量に使う日本にこそ必要だ。焙煎器は一昨年の発売以来、3000台売れた。冷蔵庫は商品化を目指し、予約を受け付けている。

 缶ビールを自宅のベランダに出してみた。夜になるとキンキンに冷えていた。星が美しい。電力に頼らなくてもできることは案外あるのかもしれない。【足立旬子】

毎日新聞 2005年1月19日 東京夕刊

 

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