モンゴル現地テストの印象   

 
by 吉井浩一 
 


これがモンゴルの空の青さだ!


日焼けした吉井

 偶然に頂いたモンゴル行きのお誘いに即断で乗ったのが大きな収穫に繋がりました。 かねてより藤村先生の社会的な事業には興味を持っており出資もしてましたが、これまでは日々の生活で手一杯であり何もできずにいました。 最近やっと時間的余裕が生まれたのでこれ以上のタイミングはないと思い、思い切って自費で参加してみました。

 非電化冷蔵庫といっても内心「ほんとに冷えるのかな〜」、とか「放射冷却?何度も温度を下げるような威力があるんだろうか?」、「外界からの熱を遮断するのも大変だぞ」などと疑っていました。 ところが実験は大成功で、昼間でも4度以下を維持したのです! 冷蔵庫に入れていた、チンチンに冷えていた水を飲むにつけ、「恐れ入りました!」というのが実感です。 疑ったりしてごめんなさい! この水がビールだったらさぞかしおいしかったことでしょう。

 出発前日に急遽作ったという簡易型ソーラークッカーもなかなかの出来映えでした。 北緯47度なのでいくら晴天が多くても大して太陽光は強くないと思っていたら大間違い。 日焼け止めを毎日丹念に塗ったのにもかかわらずかなり日焼けしてしまいました。 手製の簡易型ソーラークッカーも30分位でちゃんと沸騰しました。 モンゴルではこの太陽光の利用が大きなキーポイントとなりそうです。

 やはり想像と現実のギャップは大きかった。 私などはモンゴルというと椎名誠の世界のイメージで固定されていたため、多くの遊牧民が車を持っていることや、ウランバートルから50キロ離れた所でも舗装路があり(穴ぼこだらけですが)、高速道路も計画されている話を聞き、テレビのイメージとは大違いだということを実感できただけでも実際に足を運んで良かったと思います。

 その他にもこのプロジェクトを通じて多くの収穫が得られました。 先生が遊牧民の抱えている問題を解決するその過程を拝見できたのも大きな収穫です。 例えば、放射冷却を応用した非電化冷蔵庫の場合、まず目標温度に達するため理論的にどれくらいのエネルギー放射が必要かを算出し、それを可能にするために素材や構造を工夫します。 そして最も効率的、低コストで簡単な手段を選んでいくわけです。 この一連の考察を可能にするために、物理学、とりわけ熱力学や電気のことを知る必要があると切実に思い知りました。 今回でも、放射冷却は温度の4乗に比例するとか、風力発電は風速の3乗に比例するなど多くのことを教わりました。

 また、電気製品がいかに無駄が多いかということも物理学を使って理論的に考えるとよく分かります。 例えば10トンの水を24時間で井戸からくみ上げるためには、理論的には0.1kwしか必要ないのに、実際のくみ上げポンプは8kwのものを使っていたりという具合です。 この大きな無駄に着眼することにより初めて非電化製品を発明することができるのだと思い知りました。

  私は子供の頃から環境問題に興味があり、社会的貢献をしながら収益性も妥協しない形でビジネスにならないかと考えてきましたが、法的、経済的、技術的な問題の前に打つ手がありませんでした。 しかし今回の経験で、高度な技術が無くても、物理学などの理論的背景が分かると、アイデア次第でいくらでも解決の糸口があるという、この事実が私には非常に衝撃的でした。 さらにこの非電化プロジェクトは、その社会性、事業性だけでなく、同時に国際貢献までできてしまうという、非常に社会的インパクトの強いものです。 私も微力ながらこのプロジェクトのさらなる飛躍に今後も貢献していきたいと思っています。

 

                              子ねずみ(体長2〜3cm)が土の穴からでてきた――撮影:吉井

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