2005
モンゴル非電化プロジェクト感想文
 
 
by 吉井浩一 
 


乗馬中


暖房装置をゲルに設置中

私たちの目は、普段は近くの物、つまり日常的に見える物しか見ていません。そのため、私たちは日常の些細なことばかり考えて生活をしています。それで幸せな一生を過ごすこともできるでしょう。しかしながら、五感では捕らえられない、人間の物理的限界を超えた遠くの人々にも愛情の範囲を広げていくこと、これこそが知性と人間性の高さを表すのではないでしょうか。世界を展望するにつけ、先進国の後先を考えない快楽の追求が太平洋の国々を消し去ろうとしていたり、南北問題を深刻化させて貧富の差が広がる一方。ひいては世界中で異常気象が農作物に大打撃を与えている始末。せめて将来の明るい未来像を描いて、この命と世界を次の世代に受け渡したい。そんな中で明るい未来の布石になりそうだと思ったのがこのモンゴルプロジェクトでした。  

昨年の試作実験で大成功を収めた非電化冷蔵庫をベースとして、今年は新たに3テーマを加えて事業を拡大する年となったため、2005モンゴルプロジェクトを大変楽しみに心待ちにしていました。去年は非電化冷蔵庫の原理を理解してなかったり、モンゴルについての知識があまりにも不足していたために感じた悔しさを反省し、今年はこのプロジェクトで必要とされる科学的知識(輻射や熱伝達などの熱力学)や、モンゴルの社会的背景、そして事前のアトリエでの非電化製品の試作実験に立ち会ったりして、個人的にも絶対成功させようとの意気込みで周到な準備をして望みました。今年はテレビクルーも参加してテレビで放映されるということが、私にもいいプレッシャーになったように思います。  

 結論はというと、個人的には2週間という限られた時間の中でしたが、精一杯貢献できたと思いますし、去年に比べてもはるかに大きな学びがあったと思います。  

 それにしても、2度目のモンゴルだからもう驚きはないだろうと思っていたら大間違い!6月のモンゴルはいろんな意味で意表を突かれてしまいました。去年10月に訪問した時とは全く別世界の楽園で、一面の緑の草原には花が咲き乱れ、小鳥がさえずり、バッタなどの昆虫が飛び回る、生命に溢れた世界です。去年の10月は全てが死んだような印象だったのに。これは来てみないと分かりません。  

 緯度が日本より北なので、夏至に近い6〜7月は日が長いことは分かっていました。しかしこれほどまでに北の方から日が昇り、北の方に沈むとは思ってなかったので、非電化冷蔵庫を日中の太陽から遮光することは思いの外困難でした。また今年は異常気象で夜間の気温が高かったのも意外でした。このような思いがけない出来事を堪能することが、世の中で全く新しい試みをすることの醍醐味なのでしょう。  

 非電化冷蔵庫に関しては、今年は森林地帯、砂漠地帯やウランバートル近郊など5つの場所に設置しましたが、モンゴルの中でも気候や風土、遊牧民の習慣がかなり異なることも驚きでした。非電化冷蔵庫もそれら諸条件によって構造やデザインを最適化して供給する必要性を痛感しました。今回の2005モデルから更に断熱性、遮光性、冷却性能を高めたものにしていきたいと思っています。  

 今年は去年よりもはるかに多くの遊牧民の方々に非電化製品を提供できましたし、モンゴルの健全な発展のために貢献できました。後先を考えない、先進国に搾取されるだけの工業化ではなく、先進国を超越した、永続的な文明のあり方を世に問う国になるよう、モンゴルを応援していきたいものです。今後もこのプロジェクトがモンゴルのみならず世界的なムーブメントになることを切に期待しています。  

    モンゴルの草原(ツーリスト・キャンプ付近)に咲いていた花   (撮影 by 吉井)
      
           

モンゴル現地テストTOPに戻る   モンゴルプロジェクトTOPに戻る        HOME 

 


Copyright 2003−2008 Hidenka Kobo Inc. All rights reserved.