12月8日 / 「母乳の、せつない話」
サランラップとクレラップは、ラップのシェアーの70%を占めるそうです。 旭化成と呉羽化学という、日本を代表する企業の製品です。 両方とも、ダイオキシンの原因となる塩化ビニリデンを材料としています(残りの30%の内、塩化ビニールや塩化ビニリデンから作られているラップは僅かです)。この2社の返品受入れ表明(ただし、代金は返しません。送料も負担しません‥‥‥という、人を馬鹿にしたような話)を受け、お母さん達が運動して、2万本の返品が実現しました――と、ここまでは感動篇。 ここからは立腹篇――「塩化ビニリデン以外の材料で製造する技術もこれから研究‥‥」という、旭化成のコメントをTVで聞いて、腹が立ちました。 「燃やしてもダイオキシンが出ない焼却設備を整えるのが先‥‥」という呉羽化学のコメントには胸が冷えました。 このメーカーの人達は、本当に子を持つ親達なのでしょうか? で、今回はダイオキシンの話。「またか!」でしょうが、「また」なのです。 我慢して聞いてください。
スウェーデン方式――良いものしか使わない、悪いものは勿論使わない――が子供の未来を奪い返すお手本‥‥‥と、この欄で、書きました(11月17日付け)。 スウェーデンは本当に良いお手本です。 例えば、ダイオキシン。 日本では年間5000グラムのダイオキシンを製造(?)しています。 スウェーデンでは1〜2g。 5000グラムの日本では、塩化ビニール(ダイオキシンの主要発生原因)は相変わらず製造されていますが、1〜2gのスウェーデンでは製造を止めました。5000グラムの日本では、塩化ビニリデン製のラップを威張って売っていますが、1〜2gのスウェーデンでは、あらゆるラップの販売も使用も、自主的に止めてしまいました。 ラップの使用を止めてしまったと聞いて、本当だろうかと思いました。 「本当にそうなら、赤くなって下を向いて歩いてこよう」と思って、“それ”だけの目的でスウェーデンに行ってきました。 赤くなって下を向いて歩いてきました。 “それ”以上の何かを学んだような気がしました。
母乳は、母親の乳房で作られるのだと思っていました。 そうじゃないんですね。 血液が体中をめぐって、母体から脂肪やタンパク質、糖質、ミネラル、ビタミンなどの栄養素や免疫抗体を溶かして乳房に運び、それが濃縮されたものが母乳なのですね。 母体の骨をも溶かして運びますから、カルシウムの補給が足りないと、お母さんの骨はぼろぼろになってしまいます。 生体学を学んでこのメカニズムを知りました。せつないほど美しい話です(笑われそうですが、母乳のことを考えると、女性に生まれた人が羨ましくなります)。
せつないほど美しい、母乳の話を、せつないほど辛い話に、ダイオキシンが、変えてしまいました。ダイオキシンは体内に入ると、体脂肪組織に蓄積されます。 ほとんど全く排出されません。 蓄積される一方です。 体脂肪に蓄積されたダイオキシンは、脂肪ごと血液に溶けて乳房に運ばれ、濃縮されて、母乳となって、乳幼児に与えられます。 たとえば、体重4キロの赤ちゃんは、1日に約600ミリリットルの母乳を飲みますから、お母さんにしてみれば、およそ6000ミリリットルの血液に含まれる脂肪を、母乳を通じて排泄している勘定になります。 体重50キロのお母さんの血液量は、約3800ミリリットルですから、その1.6倍もの脂肪とそれに含まれるダイオキシンも一緒にあかちゃんに移行している勘定になります。 つまり、何年もかかって母親の体脂肪に蓄積されたダイオキシンが、たったの数週間で、赤ちゃんに移動されて留まります。そこから先の話は、よく知られているとおりです。 お母さんたちから、「母乳とミルク、どちらを?」と問われる度に、答えに窮します。 こんなせつない話はありません。 スウェーデンの人たちが、ラップの使用をやめてしまったのは、母乳の話を知ったからです(拍手)。
母乳は、いつまでも、せつないほど美しい話‥‥‥にしておきたいですよね。 そこで提案。 もうお始めになっていらっしゃるかもしれませんが、第1ステップ「サランラップとクレラップ」は使わない、 第2ステップ「プラスチック製のラップは使わない」――ここでおしまいにすると、「不便だ!」のブーイング――だから、第3ステップ(これが言いたかった!)。 ラップが無くとも便利な“何か”を、発明家のみなさん(発明家でないみなさんも)、発明してみませんか?