99年11月17日 / 「子供の未来を奪い返せ!」

 先日、ダイアン・ダマノスキーさんから、メールが届きました。「パパ同盟はどうなりましたか?」という質問です。しまった!困った!‥‥約束したのにやっていないのです。約束不履行の話を白状して、ついでに、約束履行を手伝って下さる方をここで募りたいと思います(ずうずうしいかな?)。

「奪われし未来」(邦訳;翔泳社刊)という本をお読みになった方は多いと思います。“環境ホルモン”の脅威を余すところ無く伝えて、世界中を震撼させた名著です。その著者の一人がダマノスキーさん。女性ジャーナリストで、これだけの偉業を成し遂げた人‥‥‥怖い人を想像してしまいますが、温和で謙虚で‥‥優しい方です。ダマノスキーさんを招いて、「子供の未来を奪い返せ!」というシンポジウム(激しいタイトルですね)を東京で開催しました。丁度一年前の今ごろのことです。

「環境ホルモンの影響に気が付いて、調査を始めました。フロリダの鷲の80%は生殖能力が無いのです。ミシガン湖のミンクは子を産まなくなったのです。南カリフォルニアのカモメは雌同士が一つの巣に同居しているのです。人の精子の数は半減‥‥‥‥調べれば調べるほど、私達は絶望感に打ちのめされました。私達の子孫は、あと数世代で絶えるとしか考えられないのです。人類に未来は無い‥‥もう手遅れだ‥‥‥絶望感と闘いながら調査を続けました。すると、一縷の光明が見えて来たのです。遺伝子にまでは影響が及んでいないことに気が付いたからです。そう、絶滅する前に、環境ホルモンのような原因物質を無くしてしまえば、絶滅は免れる! 世界中の大人たちが必死で取り組めば、可能性は僅かに有る‥‥‥と。私達は、本のタイトルを「Our Stolen Future(奪われてしまった未来)」と名付けることにしました。絶望的と受け取られるタイトルを敢えて付けることによって、“未だ望みは有る、しかし必死で急がねば‥‥”というメッセージを伝えたかったのです」‥‥‥…ダマノスキーさんは、涙ながらに語って下さいました。満員の聴衆は、みな涙しました。

 ダマノスキーさん、スウェーデンの環境問題のリーダーのレーナ・リンダルさん、ジャーナリストの金谷年展さんに私も加わって、「どう行動すれば、子供の未来を奪い返せるか?‥‥」というパネルディスカッションも行いました(「大変だ!」の議論も必要なのでしょうが、“大変だ!でおしまい”に慣れてしまったら、もっと大変ですものね!)。 「 悪いと証明されて法律で禁止されたら作らない、使わない‥‥という日本式では間に合いません。新しい化学物質は1週間に3千種も世界で生み出されている(本当の話です。年に3千の間違いではありません)のに、悪いと証明されるには、1種で1年掛かるのですから‥‥。良いと判っている物しか使わない。悪いと証明された物は勿論使わない‥‥‥という、スウェーデン式でなければ‥‥‥(難しそうに聞こえるかもしれませんが、怪しげなものは大体予想がつくのです。それを全部、証明済み・想像だけ‥‥と正直に公表して、使うか使わないかは個人が決める‥‥というスウェーデン方式は現実に可能なのです)」‥‥‥というのは、私の発言の平凡な方(ダマノスキーさんも頷いただけ)。ユニークな方は「自分が勤める製薬会社の薬を自分の子には絶対に飲ませない父親や、自分の子に食べさせる野菜は別の畑で無農薬で作る農家の父親‥‥‥こういう、二重人格――パパと企業人の二重人格を止めましょう。企業の中にいる人は何が悪いか、よく知っています。自分の子供に与えられないようなものを作るのは、拒絶する。そうすると、私の推量では9割方は悪い物がなくなる」‥‥‥という発言です。「そんな事できないよ、首になって、妻子が路頭に‥‥‥」というブーイングが聞こえそうですね。そこでアイディア! 「企業人のパパが、パパとして納得できないことを匿名で告発する、 “パパ同盟”というサイトをインターネット上に作るのはどうだろう?これなら、クビにならずに“一重人格半”になれる‥‥‥故意の営業妨害は‥‥のように防げる」。ダマノスキーさん、このアイディアに大喜び‥‥‥‥。

そして、一年が過ぎました。、冒頭のメールが届きました。覚えていて下さったのですね。どなたか、私の約束履行を手伝って下さる方はいませんかね?(やっぱり、ずうずうし過ぎるか!‥‥‥)