9910月29日 / 「やらずにはいられないほど好きでたまらないこと」

 大前研一さんの塾で、昨日、起業家予備軍の若者たち(70人ほど)に講義をしました。“何か”を真剣にやろうとする意気込みが感じられて、いい雰囲気でした。その“何か”が、いったい“何”なのか?……が定まっていない人が8割以上と、直感的に感じたものですから、「“やらずにはいられないほど好きでたまらないこと”が、見つかったら起業したら如何ですか?“そうではないこと(儲かりそう……とか、流行っている……とか)”で起業するのはお止めになったら……」と、先輩起業家としてのたった一つのアドバイスとして、申し上げました。

 新しい人が新しいことを始めて――上手くいく筈なんてありませんよね。楽なはずもありませんよね。ここが、“基準軸”です(起業して、成功も失敗もたくさん経験して、仲間の成功も失敗もたくさん見聞きして……私はつくづくそう思います)。 上手くいかない?楽じゃない?それがどうした、当たり前じゃないか!……ここを“基準軸”にしても、やらずにはいられない。こうでないと、上手く行かなければ、たったそれだけの事で元気を無くしそうです(元気を無くした人は悲しい!)。失敗なんて、失敗する時は失敗するんですよね(変な日本語!)――新しいことをやるんですから。大した話じゃないですね。 「やらずにはいられないほど好きでたまらないこと」なら、上手くいかなくったって、楽じゃなくったって、そんなことは、大したことじゃない。 「やらずにはいられないほど好きでたまらないこと」を持っている人は、だから、いつでも、元気です(定年になっても元気なオジサンは皆そうです)。 エネルギーが持続します(ここが大切!)。そうすると、たまには上手くいくことだってあります。 新しいことで上手くいくことなんて、上手く行かないことがうんとたくさん、の後にしか順番が回ってこないのですから(オッ、拍手が聞こえてきたぞ!)。

 「やらずにはいられないほど好きでたまらないこと」をお持ちでない(間違いなら失礼)8割以上の聴講生のために、ヒントを一つだけ差し上げました。私の大好きな「アフガニスタンに子供を連れて行く話」です(大好きな話ですので、私の著書には必ず登場します)。友人の多田正毅さんの活動です(私は手伝っているだけ)。結城市にある城西病院の理事長で、ご自身も医師の多田さんは、戦地に医師団を派遣する活動に私費を投じ続けてこられたのですが、10〜15歳の少年たちを、一週間ほどアフガニスタンに連れていく活動も続けています。銃弾の下をかいくぐって(ちょっとだけ大袈裟ですが、本当です)戦地に行き、同じくらいの年の子供達が、目の前で飢え死にしてゆく姿を目の当たりにしたり、両親を失った子供の(地雷で千切られた)腕に包帯を巻いて上げたり………帰ってくると、少年達は「有難う」と言うようになるのです。きっと、少年達の“基準軸”が変わるのでしょうね。「平和なのが当たり前、両親がいるのが当たり前、好きな食べものが有るのが当たり前、欲しいものが何でも手に入るのが………」という“基準軸”から、「両親が揃っているだけで、どれほどありがたいことか………食べる物があるだけで……」という“基準軸”に。少年たちは「自分のやりたいこと」も発見し始めます。きっと、基準軸が変わって、“自分を発見”したのでしょう。“自分を発見”が、「やらずにはいられないほど好きでたまらないことの発見」の近道のようです。「確信してから行動する(行動しない人のいつもの論理)」のではなく、「行動するから確信する」のようです。

 この、「アフガニスタンに子供を連れていく話」を聞いた聴講生の中から、女性3人を含めて8名の方から「アフガニスタンに連れて行ってくれ!」と頼まれました。来春になると思いますが(その時になって逃げるなよ!)、大人も連れていくことになるのかしら(命の保証はしませんからね!)。