2000年9月9日 / 「起業家のマーケッティング(続々々々)」

 NTTの研究所で頼まれて講演しました。今週のことです(前回まで昔話ばかりで、ちょっと後ろめたかった!)。 NTT向けではない、しかも通信から外れた新事業に真剣に取り組んでいるそうです(時代の流れですね!)。 ところが、天下のNTT――とNTTの方がおっしゃる――の研究所といえども、NTT以外をお客とする新事業にはてこずり気味―――そこで、新事業を軌道に乗せる心構えや方法を喋ってくれ‥‥‥という依頼でした。 NTTの研究所は俊才の集りです。 こういう方々が(マネッコではない)ホンモノの新事業にチャレンジというのは嬉しいことですから、お手伝いすることにしました(ほらねっ、マネッコをカタキにしているだけで、大企業をカタキにしているわけじゃないでしょ!)。 

 マーケティングの研究と技術の研究を7:3ぐらいの比率で(一人一人の研究者が)おやりになったら如何ですか、勿論マーケティングの方が7ですよ‥‥‥とお話したら、キョトンとされてしまいました。 10年も20年も技術の研究に没頭してきた方たちですから、7割くらいをマーケティング‥‥私にとっては当たり前過ぎることなのですが、研究者の方にとっては、当たり前でなさ過ぎたようです。 何故7割か‥‥をお話していくうちに、ちょっとは納得してくださったようです(ホントかな?)

 「先ず技術ありき」――大はNTTから、小は地方の起業家まで、技術系の人は皆そうです(造れば売れる時代が長過ぎた!)。 技術が出来上がってから、「さあ、マーケティング」(それも人任せで)‥‥売れるワケがありませんね。 「新しいモノを新しいヒトに」となれば、NTTも起業家も条件は同じ。 5つのドラマか1つの神話が必要です(決め付けすぎたかな!)。 金持ちだと、金にあかせて、嘘っぽいドラマを造ってしまうので、若しかしたら、貧乏起業家の方が有利なのかもしれません。 この有利さを意識することが、起業家のマーケティングの決め手かもしれません。

 中小企業や起業家が有利なことが、もう一つ有ります。 言わずと知れたインターネット時代。

起業家が自分の存在と価値を広くアッピールするのに、お金は要りません。 インターネットの世界では、お金の力よりも共感の方が(しばしば)強力です。 特色のある(つまり創造的な)ことを心をこめて生み出し、それをアッピールする。1万人に1人くらいは強く共感してくれるでしょう。 1万人に1人でも、1億人なら1万人。 1万人は中小企業や起業家には十分です。

これまでの時代は、1万人に1人しか買わないようなモノは、百万人に1人も買いませんでした。

これからは、1万人に1人くらいしか持っていないモノを求める人が、1万人に10人くらいは居そうです(そういう時代です)。

 1万人に1人では大企業は困りますから、1万人に千人を求める。 1万人に千人の新商品など、これからは年に1つか2つしか出現しないのではないでしょうか。それを、数千社の大企業が争うのですから、大企業の研究者は(これからは)本当に大変です。研究部門を10人単位くらいに分割独立させては‥‥‥というのは私の過激な提案です(喜ばれたことは無いけど!)。

 インターネット時代のマーケティングはこれまでと異質か?‥‥最近よく問い掛けられます。まったく同質‥‥というのが私の意見です。やはり、5つのドラマか1つの神話。 インターネットの活用で、ドラマが生まれるスピードは、桁違いに速くなるかもしれませんが、本質は同じでしょう。

 さて、NTTの研究所のみなさん、私の講演は(ちょっとは)役に立ちましたか?