2000年8月19日 / 「起業家のマーケッティング(続)」

 「鍼灸院に空気清浄機を‥‥‥」の昔話を披露します。 鍼灸院にはお年よりが通う‥‥と聞いて、空気で何とかしてあげられるかな‥‥と、単純に考えました。 鍼灸院に空気清浄機は普及率0%ですから、大企業流のマーケッティングでは対象にならないでしょう。マーケットサイズから考える大企業流と、社会的価値から考える起業家流の違いです(後からわかったことですが、鍼灸師は全国に10万人もいるのだそうです――ワオッ!)。

 先ずは、客として訪問(ラブホテルの時と違って、一人でも恥ずかしくなかった)、何軒か行ってみて、よく解りました。お灸のモグサから出る煙を常時吸っていると有害と、鍼灸師は怯えているのです(本当に有害かどうかは知りません)。熱いお灸に耐えながら、ドラマチックな効果を生む方法を考えました(その時のお灸の痕がまだ残っています)。ついでに、鍼灸院というマーケットのメカニズムをたっぷりヒアリングしました。 アイディアが生まれたので、鍼灸院通いは終了(ヤレヤレ!)。

 研究室に模擬鍼灸院を作って確かめました。アイディアは簡単です。モグサの煙が取れやすい

ように、機械をチューニングしました。お灸の施術台の真上の天井に、機械を簡単に取り付けられる装置を工夫しました(煙は真直ぐ上に昇るのです)。 たったこれだけのことですが、結果はドラマチックでした。

 以下の手順は(前回の)ラブホテルの話と同じです。 要は5つのドラマです(3つ目のドラマがイマイチだったので、“神話”は生まれませんでしたが)。 これだけで、鍼灸院のシェアー100%(他社は鍼灸院を対象にしないのだから、当たり前ですが)――本当に有った話です。

 大企業流のマーケッティングでは、存在するマーケットを調査しますが、起業家のマーケッティングでは、マーケットを創ります。「マーケットの発明」と言ってもいいかもしれません(やっと“発明”が出てきたぞ!)。大企業流のマーケッティングでは、売り方を学びますが、起業家のマーケッティングでは、売り方を発明します。発明には「メカニズムの理解」と「感性」の両方が必要‥‥というのは私の持論ですが、「マーケットの発明」や「売り方の発明」にも、同じことが言えそうです。大企業では、これを分業でやろうとしますが(実際はやらない)、起業家は自分でやります。自分でやるから(5つの)ドラマが生まれます。

 (前回登場の)起業家Kさん‥‥‥自分でやりましょうね!