2000年7月22日 / 「SMART経営/11の法則」
ピラミッドでも文鎮でもない、“SMARTチーム”を前回紹介しました。米国ベンチャー企業家たちが、この“SMARTチーム”の理論づくりをする過程で、私もちょっぴり仲間入りさせてもらいました。お礼に、「SMART経営/11の法則」を考えて、彼らにプレゼントしました(“SMART経営”は私の造語です)。 「変化の時代に、スピーディーに新しい価値を生み出す経営スタイル」を(主に米国ベンチャー企業の経営スタイルから学んで)11の項目にまとめてみただけのものですが(とすると、“法則”は大袈裟だったか!)、米国では喜ばれました(日本では喜ばれませんでした)。11の項目(ウン、控えめに表現したぞ!)を並べると、以下のとおりです。(“”)内は、イメージを助けるためのキーワードです。
1.企業流動(“会社は商品”)‥‥‥オーナー単位・事業単位で発想
2.コンセプト経営(“未来に点を打つ”)‥‥‥いつ、どんな価値を‥‥から発想
3.流動機能(“アウトソーシング”)‥‥‥一番得意以外は自分でやらない
4.流動組織(“ブロック組織”)‥‥‥時間割・仕事割の流動組織 5.戦略経営(“SMARTチーム”)‥‥‥経営者直轄の情報・戦略中枢機能
6.能力主義(“単年成果主義契約”)‥‥‥人材の積極的流動化・高度化
7.直接金融(“事業単位直接金融”)‥‥‥投資先行型で事業単位の直接金融主体
8.ダイレクト・コスティング(“事業別・活動別即時決算”)‥‥‥リアルタイム戦略会計
9.ダイレクト・マーケッティング(“双方向・直接・特注”)‥‥‥企業と消費者間に信頼と共感
10.倫理経営(“倫理の2重好循環”)‥‥‥社員のやり甲斐と消費者の支持獲得 11.スマートライフ(“新しい豊かさ”)‥‥‥自由な時間・良い環境・豊かな関係
一見して、“当たり前”のことばかりが並んでいます。 これが以外に“当たり前”ではないことをお分かりいただくために、従来型の経営スタイルを、11項目にまとめてみました。 “SMART経営”と“従来経営”の、同じ番号同士を対比して見てください。
1.企業の存続・発展が至上の命題(“企業は不滅”)‥‥‥企業単位の増収増益が最上位概念
2.延長線上での改良型経営(“変化とリスクと非常識は大嫌い”)‥‥‥安定と成長第一の経験主義経営
3.経営資源を活かす(“人・物・金”)‥‥‥強みを活かし、弱みを補強。自分でやる
4.固定的・縦割り・横割組織(“ピラミッド ・文鎮”)‥‥‥ピラミッドは遅い、文鎮は乱る
5.問題解決型リアクション経営(“書類・会議・TQC”)‥‥‥間接伝達情報を基に後追い分析
6.福利主義(“終身雇用・年功序列賃金”)‥‥‥固定人材に、能力の変動を要請
7.間接金融(“銀行・担保・手形”)‥‥‥銀行依存型運転資金調達
8.企業会計システム(“勘定科目別別・後追い決算”)‥‥‥一年単位の丼勘定に陥りやすい
9.流通活用型マーケッティング(“一方通行の近代流通”)‥‥‥供給過剰の時代には破綻
10.経済至上経営(“儲け第一”)‥‥‥環境・安全・人権には目をつぶる
11.物質主義下の滅私奉公(“高収入・高経費・低文化”)‥‥‥自分のための時間が無い
従来型経営スタイルと、SMART経営――どちらが良いとか悪いとかを論じる気持ちはまったくないのですが、「変化の時代に新しい価値を生み出す」場合には、(変化の無い時代に出来上がった)従来型の経営スタイルが支障になることが多そうです。発明や新事業が生まれない時、人的問題――わが社には創造力のある社員がいないなあ云々――のみを考えがちですが、経営スタイルの問題も大きいのかもしれませんね。
先日、滋賀の塾のメンバー(青年経営者たち)に、自社の点数をつけてもらいました。11の各項目について、従来型経営スタイルの極みだったら10点、SMART経営の極みだったら0点、
(間だったら、5点とか8点とか‥‥)、合計で0点から110点になります(30点以下の企業は、米国にはゴシャゴシャありますが、日本には存在しません――私のしる限り)。 現状の点数と、現在の理想の点数、5年後の理想の点数――この3種類の点数をつけていただきました。点数が低ければよい‥‥というわけでは決してないのですが、現実と理想の差が大きければ、理想に近づける努力をすべきでしょうね。現実と理想の差は平均で40点‥‥滋賀の塾のメンバーのみなさん、努力のし甲斐が大きそうです。