2000年5月27日 / 「縁起を良くする手相術」

 看護婦で、起業家で、発明家の金森律子さんを、前回のこの欄で紹介しました。金森さんのもう一つの顔は“手相術士”です(アヤシイ‥‥と思わないで読み続けてください)。 「縁起が良いか悪いか‥‥」を占うのが、一般の手相見――運命は、もう定まっているのです。 「縁起を良くする‥‥」のが、金森さんの手相術です――運命は、まだ定まっていないのです。

 「脳」を、金森さんは一番たくさん勉強しました。 言語中枢のことには、とりわけ興味を覚えました。言語中枢は、脳の左側に分布したり、右側だったり、真中だったり、前の方だったり‥‥‥人によってバラバラであることを、多くの患者さんと接する中で知りました。そして、言語中枢の場所や働きと手相の間に、何かの関係がありそうなこと、さらには、手相が時間とともに変化していくことをも発見しました。 10年も20年もかけて、いろんな人の手相の“変化”とその人の“人生”の関係を、金森さんは追跡調査しました。 先天的なモノは、利き腕側の手相に現れ、後天的なモノは反対側の手相に現れること、そして、先天的なモノと後天的なモノが“調和”するように、手相が“変化”する時、“人生”も“好転”していくこと(“不調和”の場合は“暗転”)を突き止めました。どうだったら“調和”で、どうだったら“不調和”かも、会得していきました。

 ですから、金森さんの手相術は、手相の“変化”を追いかけます。例えば、3ヶ月ごとの両手の手相のコピーを撮り続けて、“好転”の兆しや“暗転”の兆しを見抜きます。“兆し”ですから、“暗転”を“好転”に(意識的に)変えることも可能です(早期検診で、難病を早期治療するのと似ていますね)。

 「縁起」のおおもとは、仏教用語の「因縁生起」という熟語、。ものごとが起こるための要素には2種類あると考えられていて、一つが、そのものに潜在している素質――これを「因」。そして、二つ目が、後天的な要素・環境条件によるもの――これが「縁」です。 この二つをまとめた「因縁」という要素があって、ものごとが起こる‥‥ということのようです。 ですから、「縁起がいい」という言葉は、本来は「もって生まれた素質に加えて、環境条件に恵まれている」という意味で、いまの私たちの解釈とはずいぶんと違った含みをもっています。万事スピードの現代に生きる私たち(人も、企業も、社会も‥‥)は、ともすると、素質だけで突っ走ったり、環境条件だけで諦めたり、自分の欲望で支配しようとしすぎたリ‥‥‥といった、焦った生き方になりがちですが、素質と環境条件の調和を無理なくはかって、良い結果を生み出す‥‥といった、各駅停車の生き方に少しばかり、戻してみてはどうでしょうか‥‥‥といったような話を、この欄で以前に書いたことがあります(今年の1月1日付け)。 金森さんの手相術は、素質と環境条件の調和が無理なくはかられているかどうかを、予兆の段階で見通すものと言えそうです。「縁起を良くする手相術」と言って差し支えないでしょう。

 こういう“後講釈”は、至って簡単ですが、これを“発明”した金森さんには、ただただ敬服!!!