2000年5月20日 / 「起業家看護婦/金森さんはエライ!」
無条件で尊敬したくなる人‥‥っていますよね。 金森律子さんがそうです。4年振りにお会いしました。あい変らずフラフラになりながら仕事をしていらっしゃいました。 「ちゃんと生きていてくれた!」というのが、会話の出発点でした。(大袈裟に聴こえるでしょうが)それくらいに、命を削って働いていらっしゃいます。 たぶん一日3時間くらいしか寝ていらっしゃらないのではないでしょうか。困っている人のために、朝から晩まで、小柄な身体で走り回っています。 いつもフラフラで、いつも貧乏で、(勿論、愚痴のひとつもこぼさずに)いつもニコニコ‥‥‥‥こういう方がいらっしゃるんですね。 10年のお付き合いになりますが、お会いするたびに、心が洗われます。
聖マリアンナ医大病院・腎センターに看護婦として勤務していた金森さんは、“かゆみ”に悩む患者さんを何とか助けて上げたいと、ヨモギに着目しました。 腎不全の患者さんたちは、体内の老廃物をうまく排泄できないために、皮膚の下にそれがたまり、のた打ち回るようなかゆみに苦しむケースが多かったのです。 1980年のことです。
金森さんは、幼い頃、怪我をした時に、母親がヨモギで手当てしてくれたことを想い出し、(医師の許可を得て)絞ったヨモギをガーゼに包み、患部に当ててみました。すると、個人差はあったものの、
かなりの効果を得ることができました。その後、病院内で医師たちの協力を得て研究が進められ、改良が繰り返されました。1989年には、「第20回看護学会」で研究発表がなされ、大きな反響を呼びました。 金森さんのチャレンジは、これに留まりませんでした。アトピー性皮膚炎の子供たちをはじめ、かゆみに苦しむ人たちを一人でも多く助けて上げたいと考えた金森さんは、「起業」を決意しました。「メディケア・ジャパン」という会社を創設し、女性スタッフの陣頭指揮をとりながら、ヨモギのローション、ゼリー、クリーム(金森さんは、これらに「ヨモネオール」という名を付けました)や石鹸を商品化して、販売に漕ぎ着けました。
ヨモギの主成分である、“シネール”という精油と“クロロフィル”が、かゆみの緩和や炎症を抑える働きをすると考えられますが、金森さんの「ヨモネオール」は、これらの有効成分を最大限に活かすように研究し尽くされたものでした(特許も取得しました)。 なんの副作用も無く、安価な「ヨモネオール」は、アトピー性皮膚炎で苦しむ子供たちの救世主となりました。 副作用が強いステロイド系の薬に頼るしか術がなく、身も心もボロボロになった子供たちの、どれくらい多くが「ヨモネオール」で救われたことでしょう。
金森さんのチャレンジは、さらに続きます。「あさお訪問看護ステーション」を創設して、病気のお年よりの看護に乗り出しました。「介護保険」の話が出てくる何年も前のことです。入院もできない病気のお年よりを、何とかして助けてあげたくて、金森さんは我慢できなくなってしまいました。2つの会社の経営をしながら、自らも訪問看護婦として、患者さんの家から家を走り回っています。「よく
生きてられるな!」と、呆れるほどの仕事振りです。
いつもフラフラの金森さんが、明日から10日間、仕事を休みます。喉にポリープができて、入院しなければならないそうです(声を出しにくくて、辛そうでした)。 「そりゃ、よかった!」と、思わず言ってしまいました――こういうことでもなければ休まない人ですから――神様の思し召しかもしれません。
金森さんの会社は、藤森さんとか、深町さんとか、今村さんとか‥‥女の人たちばかりでした。この人たちが、時には無給で(無給の月の方が多いと、私は想像しています)金森さんを支え続けてきました(この方たちの話をするとき、金森さんは必ず涙をこぼします)。 この“女の砦”に、最近頼もしい男性が参加しました。社長として、金森さんから経営の舵取りを委ねられた、後藤信義さんです。 初めてお会いして安心しました。 優しい仕事人です。 金森さんのような善い人が、本当に長生きできるように――後藤さん、頼みますよ!