2000年5月13日 / 「ナマケモノ‥‥になりましょう!」

 ナマケモノってご存知ですよね。中南米の熱帯雨林に住む、オランウータンに似たアレです。木の枝にぶら下がって、のんびりと一生の大半を過ごすこの動物は、何世紀にもわたって、「怠惰」の代名詞としてさげすまれてきました。森林が伐採されたり、食用に売られたりして、このナマケモノが絶滅の危機に瀕しています。そこで、ナマケモノを絶滅の危機から救おう‥‥と立ち上がった人たちが、「ナマケモノ倶楽部」を設立しました。昨年7月のことです。ナマケモノ基金を設立して、エクアドル北部沿岸に、原生林とナマケモノを守る「ナマケモノ保護区」を作ることを決定し‥‥‥‥と、ここまでは、よくある話です。「ナマケモノ倶楽部」のユニークな処は、ナマケモノを守るだけではなくて、ついでに、自ら「ナマケモノになってしまう」運動を展開しようとしていることです。「ナマケモノ倶楽部」の世話人たち(中村隆市さんや、文化人類学者の辻信一さん)と、ブラジルで意気投合して、私も「ナマケモノ倶楽部」をお手伝いすることになりました。「保護区‥‥」の方ではなくて、「ナマケモノになる‥‥」方での意気投合です。

 ナマケモノは、枝にぶら下がったまま、食べたり眠ったり(1日に20時間も眠るそうです)と、とにかくエネルギーを使いません。ですから、食料も(自分がぶら下がっている木の)木の葉を少し食べるだけ――徹底した省エネライフスタイルです。ナマケモノが、木から降りてくるのは、排便の時だけ。木の根元に浅い穴を掘って糞をした後は、枯葉でそれを覆います。(もうお分かりでしょうが)この排便習慣は、木々にとっては重要な意味を持っています。ナマケモノは、自分を養ってくれている木に、葉を食べて得た栄養を、堆肥化して返すことで、木を支え育てているのです。こうしてみると、ナマケモノは、他人にぶら下がって怠けている“怠け者”ではなくて、低エネルギー・平和・共生・循環型の、“ディープ・エコロジスト”そのものと言えそうです。

 「ナマケモノ倶楽部」が、自ら「ナマケモノになってしまう」運動を展開しよう‥‥というのは、低エネルギー・共生・循環型でゆったり生きる‥‥‥ナマケモノのライフスタイルを実践しようという試みです。寝る間も惜しんで働き、(結果)環境破壊‥‥の、“高度成長型ライフスタイル”の対極と言えそうです。

 「低エネルギー・共生・循環型で、ゆったり生きる」ライフスタイルは、ナマケモノにとっては簡単なのでしょうが、現代の日本人にとっては至難です。 「低エネルギー・共生・循環」だけでしたら、“必死”にやれば、ある程度はできるのでしょうが、それでは“ゆったり”ではなくて、ナマケモノではなくなってしまいます。“ゆったり”は、独力では困難でしょうから、気の合った仲間の“コミュニティー”が、きっと必要でしょう。いま有る技術だけでは“ゆったり”は困難でしょうから、たくさんの“発明”も、きっと必要でしょう。発明家の私が、「ナマケモノ倶楽部」に歓迎されたのは、どうやら、そういうことのようです。全国の発明家のみなさん、“ゆったり”を実現する発明をたくさんして、一緒に、ナマケモノになりませんか!

    ※「ナマケモノ倶楽部」のホームページ:http://www.sloth.gr.jp/