2000年4月29日 / 「緑色のコーヒー‥‥飲んでみませんか!」
コーヒー豆は何色?‥‥と聞かれれば、「こげ茶色」と、ほとんどの方が答えるでしょう。私たちが普段目にするコーヒー豆は、必ずこげ茶色ですから。 ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、この「こげ茶色」は、煎った後の色。 煎る前の“生豆”の色は、(ウグイス色とも言える)薄緑色です。
私が中村さん経由でカルロスさんから手に入れるのは、この薄緑色の“生豆”。 これを、自分で煎って、挽いて、淹れて飲みます。面倒くさそうですが(確かに面倒くさい!)、“煎りたて・挽きたて・淹れたて”のオーガニックコーヒーは、面倒くささを補って余りある美味しさなのです。コーヒー嫌いだった私の妻も、コーヒー好きになってしまったほどです。
薄緑色の“生豆”は、色だけでなく、香りも味も、“コーヒー”とは無縁です。煎るとはじめて、“コーヒー”の色と香りと味がつきます。 あれだけ、強い香りを発生するのは、揮発分子を撒き散らしている証拠ですから(などと、科学的説明を加えるまでもなく)、煎った後のコーヒーは、たちまち酸化してしまいます。酸化したものは身体に良くないし不味い(身体に良くないものは、たいてい不味い)。ですから、煎った後のコーヒー豆は、200グラム単位のアルミ蒸着パックに密封されて販売されるのが普通となりました。手間がかかりますから、200gの小売価格は500円から1200円、
これが“常識”となりました。
“生豆”のままですと、2年でも3年でも、アルカリ性を保ったままで、採れ立ての状態を維持できます。密封や冷蔵といった、特別な保存方法は不要です。ですから、纏めて購入できます。私の家では、10キロ単位(約2000杯分)で購入します。だから安い。同じ品質の、煎った豆と比べると、1/2〜1/3くらいでしょうか。つまり、“煎りたて・挽きたて・淹れたて”のオーガニックコーヒーは、「美味しくて、安全で、身体に良い」ものが、半額以下の安さで実現できる‥‥ということになります。 “面倒くさい”というのが、たった一つの問題です。私の場合は楽しい作業なのですが、ほとんどの人にとっては“面倒くさい”。しかし、“面倒くさい”ではなくて“楽しい”と思う方が、増えてきたような気もします。“煎りたて・挽き立て・淹れたて”を経験した多くの友人が、病み付きになります。
“高度成長時代”には、あらゆることが分業化され、自動化されてきました。まさに、「金で時間を買う」時代でした。買うためにお金が要る、要るから働く、働くから時間が無くなる‥‥‥経済は成長して、人間はボロボロになった時代でした。 “過労死”を名誉と考えた異常な時代でした。 異常な時代が終わって、「時間で豊かさを買う(?)」時代、つまり、豊かな人生のために時間を使うことが当たり前の時代に、いま意識の上では、変わりつつあるようですが、実生活には反映されていません。 折角、時間を取り戻したのに、相変わらず金で時間を買って、時間を余らせて金を減らしている‥‥よくある光景です。“高度成長時代”の文化が“常識”になり過ぎているように思われます。
“常識”を覆すことが、いま大きな価値を発揮しそうです。例えば、こげ茶色が常識のコーヒーを、緑色のコーヒーに変えてみる。例えば、買って飲むのが常識のビールを、自家製に変えてみる‥‥‥‥などなど。 苦痛を伴うのでは、“常識”は覆りそうにありません。 美味しさや、安全や、安さに、“楽しさ”を加えれば、常識が覆るかもしれません。“楽しさ”を加える「発明」が必要のようです。私のささやかな発明――「3分間で、ムラ無くコーヒー豆を煎る装置(従来の焙烙でムラ無く煎ろうとすると20分掛かる)」の話は、ブラジルで大受けしました。「コーヒーの文化が変わる‥‥‥」とまで言って下さった方もいらっしゃいました(大袈裟ですね!)。 発明家の役割が大きくなってきたような気がして興奮します。