2000年3月11日 / 「ハネムーンをもう一度!」

 何でも自分で作ってみる‥‥というのが私の流儀です。 好奇心だけが理由ですが、発明の種が生まれたり、物造りの本質をちょっぴり理解できたり‥‥の効用も有りそうです。1〜2回作ってみて、勘所が分かると、もう面倒になって、出来合いのもので間に合わせるのですが(道具代はいつも回収できません)、中には止めずに造り続けるものも有ります。例えば、発酵食品――前回のこの欄で紹介したビール、それ以外にもワイン、パン、ヨーグルト、納豆、味噌‥‥‥大抵の発酵食品は自家製です。美味しくて安全で安い‥‥というだけですと飽きてしまうのでしょうが、どうもそれだけではない、“奥の深い面白さ”が、発酵食品造りには有るようです。

 「酵母が全て」と言ってもよいのが発酵食品造りですから、工業的につくられた、できの良い酵母(イースト菌)を買ってきて、処方通りに造れば、簡単に、ソコソコのものが造れますが、

これでは“奥の深い面白さ”にはなりません。自分で探してきて培養した酵母を使うことにすると、面倒で、失敗だらけで‥‥ということになるのですが、上手くいった時は、半端でないスグレモノができますから、とたんに、奥が深くなる‥‥というわけです。どこから探してくるかというと、果物、穀物、酒粕、土、花――つまりは何でも良いのですが――天然のものは酵母だらけですから、その中から自分の気に入った酵母を見つけて培養すれば良いだけのことです。中でも、いい酵母がたっぷりなのが「蜂蜜」――と、昔から言われてきたのですが、どうも最近の蜂蜜からは酵母が見つかりません。「純粋蜂蜜」「天然蜂蜜」と名打ったものを求めてきても駄目です。 砂糖などの混ぜ物が多いのか、“商品”の腐敗をおそれて、厄介な添加物を一杯混ぜているのか、加熱殺菌をしているかのどれかなのでしょう(純粋ですと、糖度が高いので腐敗の心配は無いのですが‥‥)。

 最も古い発酵食品は、勿論、酒。酒の中でも一番古いのはワイン‥‥と、ここまではよく知られた話ですが、ワインと同じくらい古いのが「ミード」(蜂蜜酒)ということは、あまり知られていません。蜜蜂の巣から取り出したばかりの蜂蜜には天然の野生の酵母が棲み付いていますが、糖度が高い(約80%)ので発酵は起こりません。これを水で薄める(4倍くらいがベスト)だけで発酵が始まり、一夜にしてミードとなります(今の季節ですと1週間くらいで、発酵完了。アルコール度は4倍に薄めた場合は12%くらい)。これほど簡単だからこそ、神話伝説の時代から登場するのでしょう。

 ジュリアス・シーザもミードを愛飲したと歴史家は記しているそうですが、このミードが英国に渡り、結婚式の酒となって定着しました。さらに結婚式のあと、花嫁は半月間、一生懸命にミードをつくり、それを花婿に飲ませ、せっせとセックスに励む風習が生まれました。ここから、ハネムーンという言葉が生まれたのだそうです。これって、ちょっといい話だと思いませんか?

 花嫁がミードをつくって‥‥という風習は消えてしまったのですが、再現したくても、発酵が起こらない蜂蜜しか無い‥‥というのでは情けない話です。ミードができる、本当の「純粋蜂蜜」

を、花婿ならぬ、子供たちに与えたいですね。

そこで提案。お父さんがミード酒を造ってみる。上手くミードができる「純粋蜂蜜」を見つけたら、その蜂蜜を子供に与える。銘柄を周りの人に知らせる。 お父さんがミード酒を愛飲して、セックスに励む(ハネムーンのやり直し)かどうかは、どうでもよいとする――いかがですか?

※ミード酒の詳しい造り方を知りたい方はメールを下さい