2000年2月26日 / 「環境ビジネスを地方発信型で」
環境海援隊という勇ましい名前の団体があります。坂本竜馬ならぬ私が代表幹事ということになっています。環境に関連する中小企業の経営者、県や商工会議所の職員、大学教授‥‥等々がメンバーの小さな団体で、「環境ビジネスの促進」を目的にして、昨年秋に発足しました。その「環境海援隊」の会合で、活動の方向づけをしました。 “地方発信型環境ビジネスの支援”――これで行こう‥‥と衆議一決しました。昨日のことです。
QOLビジネスという言葉をご存知ですか? 環境、安全、福祉、健康‥‥のような生活の質(Quolity of Life)を高めるビジネスのことで、ヨーロッパではポピュラーな言葉です。 QOLビジネスは、生活に密着していて、消費者が地元にいるせいでしょうか、“地方発信型”の特性が強いようです。ハイテックとかニューサービスが中央発信型であるのと対照的です。 現実に、ヨーロッパでも日本でも、起業や新事業のテーマは、都会ではハイテック・通信・ニューサービスが大半、地方ではQOL関連が過半数です――ここまでは、ヨーロッパも日本も全く同じ。
成長して成功する起業・新事業の半数は環境がテーマ――これは最近5年間のドイツの話です。成長して成功する起業・新事業の内、環境関連は0.5%――これは最近5年間のわが国の話です。環境関連の起業・新事業の数は、ドイツも日本も大差有りませんが、成長・成功する企業となると、2桁以上の差になる――どこから、その差は生じたのでしょうか?
「事業戦略とセットになった発明の不足」と「ローカルファンドの不足」―――この“2つの不足”が原因‥‥‥というのが、私の意見です。環境ビジネスを日本でやりながら、ヨーロッパを長年見てきて、つくづくそう思います。
先ず、一つ目の、「事業戦略とセットになった発明の不足」。日本にも発明家は沢山いらっしゃいますが、全国に分散していて、対象テーマも偏っています。事業戦略とは切り離されています。ですから、活かされません。地方では“自給自足(自給自不足?)の発明”がほとんどです。発明家のエネルギーが“環境”に集中し、その発明に事業戦略が付け加えられて、各地で活かされる‥‥ドイツとは全く対照的です。
2つ目は「ローカルファンドの不足」。 フランクフルトにある“エコバンク”をご存知ですか?
中小企業経営者や教師が設立したこの市民銀行は、環境をテーマとする企業に、積極的な投融資を無担保・低利(市場金利より1〜2%低目)で行いますが、黒字経営です。意義に賛同する市民が積極的に預金するからですが、優れた選球眼と事業支援力も見逃せません。市民や自治体は、投融資を受けた企業からの購入を優先します。投融資を受けた企業は成長が促進されます(お金を持っている人と消費者の支援を得られれば、大抵は上手くいきます)。 株式公開も促進されて、投資家はキャピタルゲイン(投資利潤)を得ます。意義深い上に、一般の投資よりも利回りが良いので、投融資に拍車がかかります。このような資金と消費の“好循環”が、ドイツでは環境をテーマにして、至る処で生じています。 わが国にも、似た例は有ります(永代信用組合の活動は良い実例です)が、稀です。資金は、“中央”に吸い上げられて、“配給”されます。“好循環”とはほど遠い状況です。環境をテーマとする地方の中小企業の多くは、技術力不足・営業力不足・資金不足・経営スキル不足に悩みながら、“孤軍奮闘”しています。成功例が少ないために、投融資にもブレーキがかかります。 ドイツの“好循環”と日本の“孤軍奮闘”、これが、彼我の大差を生み出したのではないでしょうか?
といった次第で、環境海援隊の活動の方向は、“地方発信型環境ビジネスの支援”――これで行きます。発明家のみなさんの参加を期待しています。