薪ストーブは 酒を うまく する
薪ストーブは 人を 優しく する

   
薪ストーブ
        

  薪ストーブの揺らぐ炎を見ていると心がなごみます。 ですから薪ストーブが好きな方は日本にもたくさんいらっしゃいます。本格派の人は山に入って樵までやるのですが(それを自慢するからウルサイ!)、私のような不精ものは薪を購入します。 薪割りは自分でします。中年男が大きな斧で薪割りする姿は格好いい‥‥と思いませんか?――そうです、薪ストーブが好きな男はロマンチック派なのです。でも、息子の前で父親が最高に格好いい場面――そういう場面は最近の家庭では探しにくいですよね。ロマンチック派ですから、道具にもこだわります。 下の写真(b)は、薪割り好き垂涎のグレンスフォルシュの斧(スウェーデン製)――私の愛用品ですが、この重い斧で太い薪をパカンと割る(そうでないと格好悪い)には筋力トレーニングが必要です(馬・鹿・み・た・い・・・という声が聴こえた!)。
    
 鉄の箱に煙突を付けて薪を燃すだけ――薪ストーブの構造はいたって簡単なのですが、煙を出さずに(つまり完全燃焼させて)熱を室内に上手に伝えるのは案外に難しいことでした。有名なベンジャミン・フランクリンが1760年ごろにそれを発明しました。以後、ベンジャミン・ストーブとして、世界中で使われるようになります。今日では、電気の力で燃焼を制御する方式の薪ストーブも出回っていますが(邪道だ!とこだわり派は怒る)、基本構造はベンジャミン・ストーブそのものです。薪ストーブは重厚感のある大型のものが多く、すべて輸入品で値段も高い(工事費を入れると数十万円以上)のですが、安価な小型の国産品もあります。写真(a)の薪ストーブは3万円くらいで手に入れて重宝している、国産(
ホンマ製作所製)の鋳物製です。40kgの重さ(薪ストーブにしては軽い)ですから、据付工事は不要です。煙突工事も、ホームセンターで部品を購入して自分で組み立てれば数千円で収まります。 

 小型の薪ストーブで、どれくらいの広さの部屋を暖められるのか?‥‥とよく聞かれます。広い部屋全体を小型薪ストーブで暖めることは困難です。大型でも困難です。部屋全体を暖めるエアコン方式と違って、薪ストーブや暖炉は部屋全体を暖めません。昔の火鉢や囲炉裏と同じ輻射式ですから、部屋全体の温度は低くても、ストーブのそばに行けば暖かい。ですから、消費エネルギーも(部屋全体を暖めるエアコン方式と較べて)段違いに少な目です。部屋全体の温度は低いので厚着をします。室内でも冬はセーターくらいを羽織ることになります。冬でもTシャツ姿でアイスクリームのエアコン方式とは違います。冬でも相対湿度は高い(日本の冬の平均は70%くらい)のですが、エアコン方式のように部屋全体の温度を高くすると相対湿度は低くなります。アイスクリームを食べたくなるのは喉が渇くからです。部屋全体を暖めるエアコン方式では、換気をするとエネルギーが逃げてしまいます。ですから、エアコン方式は本来的に「高気密・高断熱・低換気」の建物とセットです。薪ストーブですと煙突から出て行く分の空気をどこかから吸い込まなければいけませんから、必然的に中気密・高換気です。だから、頭がスッキリして体がシャキッとします(少し寒いけど!)。

 輻射熱は距離の自乗に反比例して弱くなりますから、そばに行かなければ暖かくない。そこで人は自然にストーブや暖炉の周りに集うことになります。この「薪ストーブだと集う」というのが、私が薪ストーブが好きな一番の理由かもしれません。部屋全体の照明はなぜか暗めにして、なぜかロウソクなんかを立てたりして、なぜか人に優しい気持ちになったりして、そしてなぜかワインが美味しかったりして、人と人とが親しくなります。部屋中(あるいは建物中)暖かいと、なぜか部屋中明るくして、なぜか人は離れ離れに散ります。なぜかは解りません。
 
 余談ですが、「木は炭酸ガスを吸ってくれる。だから木を伐るのは悪い。薪も悪い」と思い込んでいる方はいらっしゃいませんよね。そう、木は生えているだけでは昼間吸った炭酸ガスは夜にほとんど放出してしまいますから、炭酸ガス削減効果はほとんど零。成長過程にあるときにのみ成長分だけ炭酸ガスを分解して炭素を固定化します。ですから(ご存知でしょうが)木はどんどん伐ってどんどん植えて新陳代謝を活発にした方がよい(伐り放しは論外)。 今、日本の森林は新陳代謝が滞って悲惨な状態です。同程度の森林面積を有するドイツの3分の1、フィンランドの4分の1しか新陳代謝されていません。薪ストーブ(木質ペレットストーブでもいいけれど)やバイオマス発電の進展が待たれます。フィンランドでは、全発電量に占めるバイオマス発電の比率は20%を超えたそうです(スゴイ!)。

(a)米国バーモントキャスティング社製薪ストーブ
  (撮影・所蔵 by Fujimura )

(b)豪ピーキャン製クッキングストーブ
  (撮影・所蔵 by Fujimura )

c)グレンスフォルシュの斧
  (撮影・所蔵 by Fujimura )

薪ストーブの主なメーカー

メーカー名

ホンマ製作所 日本 国産の薪ストーブメーカー。付属品も豊富。
ヨツール ノルウェー 世界でもっとも有名で伝統のあるメーカー
モルソー デンマーク
カストール フィンランド
ダッチウェスト アメリカ マジェスティックの傘下に入る
マジェスティック アメリカ 世界最大の薪ストーブ^メーカー
バーモントキャスティングス アメリカ マジェスティックの傘下に入る
スキャン デンマーク    
ピキャン オーストラリア    
ドーブレ ベルギー     
フランコ・ベルジュ フランス     
              

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