修道院に非電化野菜貯蔵室を作るプロジェクト

みんなが あつまって 藁を つんだ
みんなが あつまって 土を ぬった
野菜が よろこぶ 蔵が できそうだ

      
       



修道院(撮影:藤村)
     
         


05年6月18日完成した非電化野菜貯蔵庫(撮影:藤村)
          

  経緯 a  非電化野菜貯蔵室の構造    ストローベイル壁作りワークショップ   完成写真  

       
■ 経緯
    九州の某修道院に非電化野菜貯蔵室を作るプロジェクトを開始します。
この修道院では、無農薬・有機肥料で野菜を栽培して自給自足に近い生活を行っています。水も地下水を循環利用し、排水は無害化して最小限に留めています。洗濯も洗剤を使わず、電気の使用も最小限に抑えています(エアコンは病人の部屋だけetc.)。無添加のジャムやクッキーを作って販売もしています。まさに「パーマカルチャー」を地で行く生活です。
  
  深刻な問題が2つ有るそうです。一つはあまりに暑すぎること。地球温暖化の影響も加わって、修道院の中は蒸し風呂状態。Tシャツに短パンというわけには行きませんから、あの長い服が日に2回グッショリになり、夜は(あまりの暑さに)木の床に直接寝るのだそうです。どなたが設計されたのか知りませんが、エアコンでガンガン冷やすことを前提とした建築になっています。山の中腹の、森に囲まれた広大な敷地の中に立っているのですから、日陰を作り、冷たい風を通し、屋根の断熱を高めるなど、エアコンを使わないでも涼しい建築設計は十分に可能だったはずですが、今日の建築家には望めない話なのかもしれません。先ずは屋根の断熱の改善を、思い切り安く実現することからお手伝いすることにしました。
  
  2つ目の問題は収穫した野菜の貯蔵室が必要ということ。人間は(何とか)我慢できても野菜は我慢できないのだそうです。8畳くらいの広さで、ホドホド低温(真夏の真昼間でも20℃以下)で、ホドホド乾燥した貯蔵室がお望みだそうです。7月30日に訪問して、院長さん以下シスター全員とお話して、この貯蔵室を非電化で実現する試みをやってみることにしました。皆さん大喜びで興奮していました。
 
  早速、敷地内で一番良い場所を決めました。つまり、真夏に一番涼しくて、自然の冷たい風が一番よく吹いてくる処です。ここに、高床式の非電化貯蔵室を作ることにしました。半地下式にしたかったのですが、決めた場所が風の通り道であると同時に水の通り道でもあったために、半地下は諦めて、高床式にすることにしました(日本では湿気がいつも問題!)。天井はムクの分厚い木を使い、壁はストローベイルにします。自然の風を非電化で採り入れます(非電化で風を取り込むテクニックを使います)が、湿度が高い時は非電化換気装置を使って閉じます。
  
  ストローベイルは厚さ60〜70センチの土壁(藁のブロックが芯)です。8畳の部屋にこの厚さの壁‥‥ということは、室内空間容積の割には壁の容積が巨大(熱力学で言うと熱容量が巨大)です。周囲は背の高い木で囲まれます。ここに、涼しい風を通しますから、これだけでも、かなりの低温になりますが、非電化冷房のテクニック(非電化冷蔵庫と同じ原理)を使って(但し、モンゴルプロジェクトと同様に安く)更に冷やします。
  
  柱と屋根だけは本職の大工さんに任せますが、ストローベイルその他は、修道院のシスターと有志で作ります。特にストローベイルは、10人で2日くらいは掛かりそうです。ストローベイルハウスは世界中で(オーストラリアが一番多い)数千軒はあると思いますが、高床式のストローベイルハウス(どうやって作るのか‥‥それは内緒!)は若しかしたら初めてかも知れません。
 
  
※非電化野菜貯蔵庫は05年6月18日に完成しました。 9ヶ月にわたり大勢の方々にご協力いただきました。 
   心から感謝申し上げます。


                     ストローベイルハウスのイメージ         
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写真1

写真2

写真3


写真1、2は「The Beauty of Strawbale Homes」より転載。 今回の非電化野菜貯蔵室はこんなイメージ?
写真3は、03年7月に藤村が宿泊したストローベールハウスのB&B(オーストラリア)(撮影:藤村)

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